特集 小児予防救急――病気やケガを未然に防ぐ仕組みづくり
9.子ども虐待と家族からの分離・保護がもたらす “あいまいな喪失”
川﨑 二三彦
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1子どもの虹情報研修センター
キーワード:
別れのないさよなら
,
さよならのない別れ
,
子どもの保護
,
外在化
,
希望を見出す
Keyword:
別れのないさよなら
,
さよならのない別れ
,
子どもの保護
,
外在化
,
希望を見出す
pp.707-711
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002632
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児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)制定から20年以上を経て,子どもを権利の主体者と位置づけ,子どもの安全確保を前提に,子どもを保護した場合の家庭と同様の養育環境が推奨されるようになった.ただし,子どもが虐待されること,また緊急保護されて家族や地域とのつながりが絶たれる状況は,「さよならのない別れ」,「別れのないさよなら」といった「あいまいな喪失」の体験となり得る.「あいまいな喪失」とは,「はっきりしないまま,解決することも,終結することもない喪失」のことであり,喪失のなかでも最もストレスが高く,本質的にトラウマ的な体験と考えられる.被虐待児の支援では,自責の念を外在化させ,現実的な「希望」を見出す努力が重要である.
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