連載 訪問看護必携ノート・2
体表から探るフィジカルアセスメント
塩原 真弓
1
,
森山 信男
2
,
安酸 史子
3
1信州大学医学部臨床検査医学講座
2東京大学附属病院血液浄化療法部
3岡山大学医学部保健学科
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903191
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No4:褥瘡は訪問看護において大きな問題だと思うのですが,どんな部位に,どのように起こるのですか?
皮膚は表皮・真皮・皮下組織からなっています.表皮は最深層の基底細胞が順次分化して最外層の角質層となって剥離します.真皮は密な結合織で構成され,表皮としっかり結合していますが,強い刺激で結合がはずれて水疱や潰瘍を作ります.皮下組織は主に脂肪細胞からなっています.褥瘡は長時間の圧迫により,皮膚や軟部組織に循環障害を生じて壊死に至った状態です.好発部位は体重がかかる場所,つまり皮膚が薄く,骨が突出していて体表から触れる部位です(図1).褥瘡の分類法のうち一般的なNPUAP(National Pressure Ulcer AdvisoryPanel)法を示します.これは褥瘡を深達度(皮膚のどの層にまで達しているか)によりステージⅠ~Ⅳ度に分けます.発見時の所見で(壊死があれば除去して),『ステージⅢ(NPUAP)』などと記載します(図2).
ステージⅠは,圧迫を除去しても皮膚の発赤や紅斑が消失しない状態です.この場合,まだ皮膚に欠損は見られません.ステージⅡは,皮膚表面に水疱やびらん,浅い潰瘍が見られます.皮膚障害は真皮までにとどまります.
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