連載 訪問看護必携ノート・4
体表から探るフィジカルアセスメント
塩原 真弓
1
,
森山 信男
2
,
安酸 史子
3
1信州大学医学部臨床検査医学講座
2東京大学附属病院血液浄化療法部
3岡山大学医学部保健学科
発行日 2002年7月25日
Published Date 2002/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903227
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No.10:下肢に静脈瘤のみられる患者がいます.一体どういう仕組みになっているのですか?
静脈瘤は静脈弁が壊れて,静脈壁が伸展,拡張,蛇行する状態です.特に下肢の大,小伏在静脈領域にみられます(図).中枢側の静脈血栓や閉塞,静脈弁破壊,腫瘍や妊娠などで,静脈血の還流障害が生じて内圧が上がることが原因です(男女比は約3:7).遺伝的な原因でもおこります.多くは無症状に経過しますが,長時間立っていると鈍痛・圧迫感や浮腫が生じることがあります.
静脈は,深在性静脈(深部静脈)と表在性静脈(皮静脈)に分けられます.四肢では深在性静脈は,1本の動脈を2本の静脈が取り囲むように併走しています(伴走静脈).表在性静脈は互いに吻合して,動脈とは無関係に皮下を走っています.動脈血は心臓のポンプ作用で全身に送り出されます.静脈血は周囲の筋肉の収縮運動や動脈の拍動(筋ポンプ),右心房との静脈圧差(右心房圧が低い),吸気時の胸腔内陰圧などによって,心臓に還流します.加えて,下肢や上肢の静脈内腔には逆流防止の静脈弁が発達しています.下肢の深部静脈は足背静脈弓から膝窩静脈,大腿静脈へと流れます.表在静脈は大伏在静脈が鼠径部で大腿静脈に,また小伏在静脈が膝の裏で膝窩静脈に合流します.
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