連載 看護基礎教育において「安全」をどう学ばせるか・2
重大事故につながりやすい技術の学び方―①ベッド・車椅子間の移乗
大久保 祐子
1
1自治医科大学看護学部
pp.380-383
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903202
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人は,トイレに行くにも洗面をするにも,移動を必要とする.この最も日常的な行為である「移動」の中にある危険が,転倒・転落である.転倒・転落は骨折を起こすかもしれない出来事である.頭を打って死に至ることもある.運良く小さな打撲や擦過傷ですんだとしても,疼痛をもたらし、移動に対する自信の喪失や動くことへの不安・恐怖心を患者に残す.特に高齢者では,日常生活の活動低下をまねき,廃用症候群へもつながっていく重大な事故である.
このように重大な結果をもたらす転倒・転落だが,その発生要因はしばしば複合的に存在する(表1)1).またどんな時にも発生する可能性がある(表2).したがって予測・予防が困難なのも実情であろう.だからこそ看護基礎教育の様々な場面で取り上げ,認識を深め,注意を喚起していくことが重要だといえよう.転倒・転落に関する教育はあらゆる場面で教育されるべき問題なのである.
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