看護教育研究
基礎教育における看護の概念形成等に資する北米看護診断学会(NANDA)診断名訳(試案)と基本的考え方―2001-2002版について
数間 恵子
1
,
松岡 恵
2
,
河 正子
1
,
萱間 真美
1
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学專攻
2東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科総合保健看護学専攻
pp.398-402
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903207
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はじめに
看護を記述する用語には大別すると,対象の状態を表現するもの(看護現象ともいう)に関するものと,看護職者が行うこと(以下,看護行為)とがある.対象の状態を網羅した用語体系としては,北米看護診断学会(North American Nursing Diagnosis Association,以下,NANDA)の看護診断がある.最近では他に,看護実践国際分類(International classification of nursing practice,以下,ICNP)があり,これでは看護行為の側面についても体系化が試みられている.歴史的にはNANDAの看護診断の用語体系が先発で,現在までに約30年の年月をかけて開発・構築されてきている.わが国でもその翻訳が実践の場や基礎教育の場に取り入れられている.
基礎教育の段階では,看護実践の具体的進め方の教授にあたり,問題解決過程に基づく看護過程の考え方が多く採用されている.あるいはcriticalthinkingという分析的思考が重視されている.看護過程の考え方では,アセスメント(情報収集・整理)に基づいて対象の状態を分析し,その結論を表明することが求められる.また,criticalthinkingの場合も,その統合として支援を要する対象の状態を表明する必要がある.いずれの場合も,その表明が看護診断(広義)であり,NANDAの用語を用いて表記することができる1).
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