連載 病態生理学講義ノート・2
解剖生理学と病理学の意義とその背景にあるもの―①看護教育システムと看護基礎教科
内藤 恭久
1
1浜松医科大学病理学第一講座
pp.150-155
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903149
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はじめに
筆者はこれまで看護教育における解剖生理学や病理学の置かれている現況についていろいろな疑問点を提起してきた1).そして前回,実際に筆者の行っている講義の概要を報告することによって,現在の看護学制度やカリキュラムとそれらの教科の講義との間には沢山の問題が内包されていることを示唆した2).
今回と次回では筆者が日頃感じている看護教育における基礎教科(解剖生理学と病理学)の教育指針の不明確さの背景にある実体を分析・整理・統合し,本講義の目的を明確にする.さらに,現在の看護教育システムや臨床看護の置かれている現状を俯瞰し,基礎教科との連携講義の必要性などを含めて,その可能性の道筋を分析し,現場の求めている看護婦(士)の育成における基礎教科の好ましい講義姿勢を探っていきたいと思う.具体的に今回は看護教育において基礎教科の置かれている背景を鳥瞰し,講義の障害となっている事柄を「教官自身の抱えている問題」と「看護教育システムからくる問題」とに整理し,基礎教科を座標軸にした両者の問題点を明らかにする.次回で両者を統合し,新しい看護教育システム像と解剖生理学や病理学の好ましい講義を展望してみたい.
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