教育の目
新教科課程をめぐって
湯槇 ます
pp.5
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905793
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新しいカリキュラムが発表され,それに対するいろいろな意見が聞こえてくるにつれて,本当にこれで動いていくのだろうか,これでは動かないのではないかという気がしてならない。
このカリキュラム改訂の動きは,これまでの看護教育のあり方が,指定規則に定められた教科内容を満たしていればよいというような表面的な流れになってしまっているのではないかという反省にはじまるものだと私は受取っている。そのような看護教育のありかたから脱却して,今日の保健医療の拡がりにダイナミックに応じていける看護を育てるために,カリキュラムについても新しい表現方法を見出していこうということで,教育課程改善に関する会議がもたれたのである。こうして生まれた新カリキュラムは,勿論理想のものかどうかわからない。恐らくいろいろな問題があるにちがいない。しかし,そんなことよりももっと私が不安に思うことは,この新しいカリキュラムが,これだけの時間を埋めていけばよいという文字どおり表面的な受取り方をされるのであったら改訂の意味はないということである。たとえば,部分的な表現のまずさとか,体系づけの不手際があったとしても,そんなことは実際にこのカリキュラムを動かしていくなかで各自の判断で対処されてよいものだと信じる。むしろ,大綱を理解した上でどのような創意工夫がなされるかが,カリキュラム改訂の成否を決定する鍵なのではないだろうか。
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