看護教育研究
慢性疾患をもつ患者の看護に関する教育内容の一考察―看護基礎教育における成人臨床看護学領域から
仲沢 富枝
1
1山梨県立看護大学短期大学部
pp.140-144
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903147
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生活習慣病の多くは,成人期,とりわけ壮年・中年期のいわゆる働き盛りの人々に発症する.そして慢性に経過することから,長期にわたり生活上の管理を余儀なくされる.家庭や社会で複数の役割を遂行しながら生活を管理していくことになるので,役割遂行と生活の調整がはかりにくく,病状の悪化や合併症の出現がみられる.また長期にわたって生活に規制が加わることから,束縛感や緊張感を抱いたり,無力感や罪責感に襲われたりする.併せて地域や職場,仲間とのつきあいを縮小させたりする傾向もあり,ケースに応じた看護の働きかけが要求される.
慢性疾患をもって生涯コントロールを必要とする成人の看護の役割については,「教育的な援助,相談・支持的な援助,サポート的な援助」1),「理解的・支持的態度,教育的機能,調整的役割」2)に代表される,換言すれば慢性疾患やそれを抱えることによって生ずる日常生活の過ごし方の理解のための知識・技術の提供である.すなわち患者,家族への教育的役割と,疾患を抱えながら生活する上で生ずる気持ちのありようを理解し,支え,社会生活が営めるように社会資源の活用について情報提供しながら,場合によっては関係性を調整していくという役割を果たすことが必要となる.
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