特集 学生とともに学ぶ医療事故防止
【慶應義塾看護短期大学「看護の日」特別企画】
「ヒューマンエラー:人は誰でも間違える―安心して医療を受けるために,提供するために」
教員の取り組み
下村 裕子
1
1慶應義塾看護短期大学成人・老年看護学
pp.774-778
発行日 2001年10月25日
Published Date 2001/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902592
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護基礎教育での医療事故に関する教育上の課題
医療事故に関する社会的関心が高まっている今日,医療を提供する側の看護教育に携わっている1人として,日々考えていることは,①患者の権利を守る,誠実であるということを,概念としてだけでなく,学生自身が実体験の中で行動できるレベルまでに学ぶためにはどうしたらよいか,また,②患者のために,学生自身のために,困難があっても正しいことをやっていこうという責任感と倫理観をもち,自分の限界を知り,それを乗り越える勇気をもって,行動できるようになるためにはどうしたらよいか,という課題についてです.
実習のなかで起こる様々なインシデントも,学生とゆっくり振り返ってみると,一瞬でも,そのときに「おやっ?あれっ?」と思っている場合がほとんどです.「おやっ?」と思ったことに踏みとどまれない理由は様々ですが,人は間違いをする存在であり,どんな対策も完全なものはないのですから,せめて自分自身の注意感覚を鈍らせず,①「おやっ?」と思うことに正直であること,②その基準を自分自身の中に築いていけるようになること,そして③そこに立ち止まる勇気をもつことが大切です.このことについて教員としての自分自身の行動も含め,教育実践としてどうあったらよいのか,教育方法としてどのような工夫があるのかを問い続けていきたいと思っています.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.