連載 論より生活・2
失笑
頼富 淳子
1
1(財)杉並区さんあい公社
pp.156-157
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902216
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「あなたは今すぐ死んでもおかしくない状態なんですよ.気管切開し,胃瘻を創らなければ生命が維持できないところまできているのです」と,面と向かって宣告されて,それまで厳しい表情で押し黙っていた長野さんがへ,へ,へと声をたてて笑った.
2年前,50歳でALSの診断を受けた長野さんは在宅になった今も,入院していた大学病院からの往診を受けている.ここにきて,彼女の呼吸機能は一段と落ち,血中酸素濃度が下がってきたため主治医が気管切開を検討しているとは聞いていた.その日訪問した私は,いずれの処置も拒んでいる長野さんをナースが説得している場面にちょうど行き合ってしまった.
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