Scramble Zone
専門学校卒業者の大学編入に向けて―カナダBC州における看護学士拡大教育プログラムに学ぶ
松井 和子
1
1浜松医科大学看護学科
pp.304-308
発行日 1998年4月25日
Published Date 1998/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901818
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はじめに
1995年度開設の本学(浜松医科大学看護学科)では,すでに2回目の3年次編入学試験を実施した.看護系短期大学卒業生としていた受験資格について,一般教育の教員より「看護専門学校の卒業生をなぜ排除するのか」と厳しい質問が出されたことがあった.非常勤講師として教育する立場から,専門学校卒業生にもぜひとも受験資格を拡大すべきであり,同じ資格を持つ看護職であるのになぜ排除するのかという意見であった.その正当性を認めつつも,実際に編入生を受け入れる立場として,実現は遠い先のように感じていた.看護系短期大学卒業生でも,2年制と3年制の違いによる授業時間割調整に苦慮していたからである.しかし予想に反し,1997年12月18日,文部省大学審議会の答申で,専門学校卒業生に大学編入学資格を与える方向性が示され,数年後の実施と知らされた.導入は各大学に委ねられるとあるが,同時に答申には各大学の積極的な取り組みが期待されるとあった1).
新設看護学科教員は,学年進行中のスケジュールに追われ,つぎつぎと押し寄せてくる教育改革に主旨として賛成しながらも,受け身で対応し,時には対応しきれなくなってともすれば保守的になり,被害者的意識に襲われることすらある.そうした対応の消極さを痛感したのは,1997年夏,カナダBC州で看護大学教育の調査研究を行なっていたときである.
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