連載 「准看報告書」以後の看護教育制度をめぐって・17
「専門学校卒業者の大学編入学」を可能とした制度改革について―看護専門学校卒業者の大学編入学を中心に解説
大室 律子
1
1文部省高等教育局医学教育課
pp.755-759
発行日 1998年10月25日
Published Date 1998/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901917
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はじめに
資源の乏しい極東の小国が,19世紀に欧米の列強に伍して世界の檜舞台に踊り出ることができたのは教育の力である.わが国の明治このかたの躍進の原動力を教育に求め,発展途上国が自国の教育に力を注ぐのも,優れた教育制度やそれによる教育の威力を知るからである.日本は今日まで,少なくとも初等中等教育においては,成功を収めてきた.また,日本の大学教育は,一部の識者から,欧米の大学に比べて著しく遜色があると非難されてはきたものの,先進国に追いつくのに極めて効率的に機能してきたことは間違いない.
しかし,21世紀を目前に控え,教育を巡る状況は一変した.今日のわが国のめざましい経済発展は,ハングリー精神を失わせて勤労意欲の低下を招き,若い女性の結婚に対する願望を低下させその結果,少子時代を招いた.民族の活力の源泉となる若年労働力は減少しつつある.労働力の量的減少は質的向上によって補うしかない.日本は今,教育に対して新しい戦略が求められている.特に高等教育において改革の必要性が高い.
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