特集 ベンチレータと生きる人々—求められる地域生活支援
コミュニティケアへのみちのり—カナダBC州における地域呼吸ケアシステムとコーディネーターの役割
アイリーン・ハンレイ
1,2
,
鳥居 祐介
,
松井 和子
3
Irene Hanley
1,2
1カナダ・BC脊髄損傷者協会
2BC州地域呼吸管理プログラム
3国立看護大学校
pp.123-125
発行日 2002年2月1日
Published Date 2002/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903897
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施設ケアから地域・在宅へ
ここブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでは,かつて,すべてのベンチレータ長期使用者は,長期ケア施設(監訳者注:日本の療護施設を巨大化した施設をイメージしてほしい)に収容されることになっていました.ベンチレータ長期使用者が家に帰って家族に会うことを希望した場合は,希望する本人は急性期治療病院に対して,医学的勧告に「反して」医師と病院の管理下を離れるという内容の法的文書に,担当医師とともに署名する必要がありました.文書は「損害賠償請求権放棄書」と題されています.この文書によって,患者とその家族は医療保険の適用なしで,場合によってはいっさいの医療サポートの見通しもなしで退院することを宣言したことになります.
私が参加を要請されたチーム(監訳者注:BC州で世界初のベンチレータ使用者専用のグループホームを建設するプロジェクトチーム)は,このような医療関係者の思考パターンを三段階で改革することを目指していました.すなわち,1)ベンチレータ長期使用者たちは私たち医療関係者に何を望んでいるか.どのような扱いを受けたいと思っているかについて,医療関係者自身が自己教育する.2)ベンチレータ長期使用者の特徴について,急性期病院スタッフを教育する.3)各地域コミュニティ,特に医療関係者を教育する.
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