特集 いま,ケアとは何かを問う
生命の関わりとしてのケア―古代養生法からナイチンゲール看護論まで
池川 清子
1
1宮城大学看護学部
pp.812-815
発行日 1997年11月25日
Published Date 1997/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901705
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はじめに
はからずもこの夏,エジンバラのロイヤル・インファーマリイ・ホスピタル注)の門前に一人立つことが出来た.エジンバラは美しい街である.街の中心にある公園から見る丘の上にそびえるエジンバラ城と続く街並みは,中世にタイムスリップしたかのような錯覚をさえ覚えさせる.通りのはずれにロイヤル・インファーマリイが,1870年のおそらくは創立以来その時の姿のまま立っている.
中でも私の目が釘付けになったのは,古色蒼然とした玄関の上に掲げられたプレートの文字であった.そこには,「I・WAS・SICK・AND・YE・VISITED・ME」,すなわち「我が病みし時,汝らは我を訪ね来たりし」という言葉があった.この言葉は中世キリスト教世界におけるケア思想の源流であろう.
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