調査・研究
看護倫理教育の一試み:臨床ワークショプの評価
石原 逸子
1
,
高田 早苗
2
,
眞嶋 朋子
3
,
真壁 玲子
4
,
中村 美知子
5
,
中西 睦子
6
1神戸市衛生局看護大学設立準備室
2北海道東日本学園
3千葉大学看護学部看護学科博士後期課程
4メリーランド大学看護学部看護学科博士課程
5日本赤十字看護大学
6広島大学医学部保健学科
pp.48-54
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901302
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日本における看護の現状では,看護者が患者の代弁者として,葛藤状況に積極的に解決行動がとれるほど,患者がおかれている状況を倫理的な問題として意識していない.中西らは腎移植患者ケアをめぐる研究の中で「看護者は高度化する医療の中で種々の倫理的葛藤を体験し悩んではいるが,多くの場合それを意識化し,積極的に解決に向かわせるすべをまだ持ち合わせていない」ことを指摘している1).これはおそらく看護の基礎教育の在り方とも関係している.看護の基礎教育の中に看護倫理を体系的に位置づけ,倫理的判断と行動選択の過程を学生の頃から学習することで,看護の専門家としての倫理観を身につけていくことが重要であろう.
たとえば,合衆国におけるある研究結果では,73%もの大卒看護婦が学部時代の倫理学のコースによって,卒業1年後には,臨床での倫理的判断に基づいた対応が可能となったとしている.そして,63~72%の看護者が,倫理学のコースで道徳的葛藤状況について討議したことが,後に臨床で役だったとしている2).
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.