調査・研究
患者体験学習に関する一考察
山田 洋子
1
1新潟県立中央病院付属看護専門学校
pp.374-379
発行日 1994年5月25日
Published Date 1994/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900843
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学生が自らの看護観を持つようにすることは看護基礎教育における重要な課題の1つと考える.看護観を育てるには,患者および看護婦の役割に対する直接的,間接的な体験的理解が必要である.最近の学生の生活体験はきわめて少ない.例えば子供や病人の世話をしたという生活体験を持つ者は少なく,あっても範囲やレベルも限定されている.そこで体験的な学習の機会を設ける必要から,いろいろの試みが報告されている.1~4)
本校の基礎看護学実習は表1のように実施している.ここでの体験は,もちろん看護者の立場でのもので,患者理解についても看護者の立場からのものである.なお,患者の理解については,看護概論のクラスで,1年次に『人間であること』(時実利彦著),2年次に『病床の心理学』(ヴァンデンベルク著,早坂泰次郎・上野矗訳)の抄読会を計画して併せて闘病記などを積極的に読むことを勧めている.病気や入院経験によって患者に対する理解が深まるというが,すべてのものが入院経験を持つことは期待できない.そこで概ね基礎看護実習を終了し,各論実習に入る前の学生に模擬的な患者および看護婦の役割に対する体験学習を試みることとした.限られた条件下での体験学習であったが,予想した以上の成果を得ることができたので,その実施状況について学生レポートを素材に次の通り報告する.
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