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特集 うつ病—日本精神病理・精神療法学会(第4回大会シンポジウム)
Ⅱ部 Schuldgefühl(罪責感)
うつ病性罪責体験について—分裂病性罪責体験との比較考察
Über das Schulderlebnis bei endogener Depression: Im Vergleich mit dem schizophrenischen Schulderlebnis
梶谷 哲男
1
Tetsuo Kajitani
1
1中央鉄道病院神経科
1Aus der Neuropsychiatrischen Klinik, Zentrales Krankenhaus der Japanischen Nationaleisenbahn
pp.380-386
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201333
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I.はじめに
「罪は無知である」といつたSokrates,「絶望は罪である」と論じたKierkegaardなど罪(Schuld)は,古来哲学的,神学的,文学的各領野にわたつて主要なテーマであつた。ことにNietzscheは,主として道徳的概念を意味したSchuldが,実はきわめて物質的な負債(schulden)に由来することを明らかにしている。わが国でも「済まない」という詫びの言葉が,負債としての意味をもつ罪貴(Schuld)の概念に通じていると和辻が指摘している。
さて,罪はいろいろに区分されているが,Jaspersはこれを,刑法上の罪,政治上の罪,道徳上の罪,形而上の罪の4つに分けている。しかし一般に罪(Schuld)といえば,「他者に対する加害行為の結果生じた負債」を意味するものと考えてよいであろう。
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