連載 看護学教育研究実践への提言・1【新連載】
連載を始めるにあたって
杉森 みど里
1
1千葉大学看護学部
pp.308
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900827
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我が国における看護学教育研究の現況を明らかにした研究は,看護婦の資格を持つ教員が発表している研究には学生を対象としたものが88.1%を占め,研究方法においてはその60.4%が量的研究であり,研究デザインは全体の88.8%が調査研究に類するという大きな偏りを示していた.
特に注目すべきことは,患者に協力を求め100%の回収率を示したもの,授業中に質問紙の配布と回収を行なうなど,被験者にとっての配慮に欠ける傾向が明らかにされたことである.このような人権擁護などに結びつく研究倫理上の問題に対する認識の無さが,常々感じている印象ではなく研究結果として提示されると,次代の看護婦養成教育に携わる教員が行なう看護学教育研究であってみれば,非常な危機感を持たざるを得ない.
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