外科研修医実践講座・1【新連載】
連載を始めるにあたって
門田 俊夫
1
1新東京病院外科
pp.771-775
発行日 1993年6月20日
Published Date 1993/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901182
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先日,『医学部教授3日やったらやめたくなる』(名古屋大学名誉教授・塩野谷恵彦著)という面白い本を読みました.現在の医学部や医療界の様々な問題点が,軽妙なタッチで描かれています.教授はこのなかで,特に学生教育について,「学生にとっての最も大切な救急医療は,24時間体制を前提としますから,大学病院で実習させることは不可能です」「医学部では解剖学,生理学,病理学といった基礎医学を教え,臨床医学はいくつかの教育病院で教えれば良いことになります」と述べておられます.実は,外科を目指す医師にとって最も重要な卒後研修に関しても同じことがいえると思います.従来から指摘されているように,大学の医局を中心とした日本の卒後研修体制では,とてもアメリカのレジデントなみの幅広い外科の知識と経験を得ることは不可能と考えます.これは,アメリカで外科レジデントとして卒後研修を受け,その後長い間,日本の大学の医局に身を置いた私の実感でもあります.
はからずも,病院は違っても,同じような思いを抱いて首都圏で外科の臨床研修を担当している同世代の外科医が5人集まり,研修指導の苦労を話しあっているなかから,今回,本誌に『外科研修医実践講座』と題する連載を担当する話が出てまいりました.
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