特集 [看護診断]への問いかけ
教育現場からの9つの質問にこたえて―「看護診断」の学習を基礎教育でどのように取り組むか?
藤村 龍子
1
1慶應義塾看護短期大学
pp.258-265
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900817
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「看護診断」という用語は,今や看護の専門性の範囲や機能の内容を表現する言語(専門用語)として,具体的に臨床看護の中で市民権を得つつあるように感じられる.その一方,看護ケアを実践する過程で,なぜ取り沙汰されなければならないのか,と疑問を持つ人が存在するのも事実である.
1973年,アメリカ看護協会(ANA)は「看護業務基準」を看護過程の方法論を用いて示し,“看護診断に基づいて看護行為を実践することは専門看護婦の責務である”ことを基準として看護の質を保証しようとしてきた.さらに,1980年,「看護の社会的声明書」(Nursing;A Social Policy Statement)のなかで,「看護は実在あるいは潜在する健康問題に対する人間の反応を診断し,治療することである」とし,看護診断を看護の役割・機能として位置づけている.この間,「北米看護診断協会(NANDA)」の設立をサポートし,看護診断の明確化や分類法の枠組みが検討され,1987年頃よりNANDAは承認された診断用語を9つの人間反応パターンに分類し,コンピュータ化を可能にするための番号システムを開発している.この分類法は,看護診断をコード化して,世界保健機構疾病分類(WHO ICD-10)に算入する可能性をもって進められ,具体的には1989年初頭,NANDAはANAと共同でWHOへ「看護診断リスト」を提出している.表題は「看護ケアを必要としている条件」とされている.
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