私の発言
これからの医療にこたえる教育体制
矢谷 令子
1
1国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院作業療法学部
pp.265-271
発行日 1978年5月25日
Published Date 1978/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907207
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I.社会変動と医療
現代社会は,あきらかに過去の歴史には見られないほどの進歩と発展をとげ,更に大きな期待が将来にかけられている.医学の歩んだ歴史も,診断から治療,予防へと進み,今日の分化された専門領域の功績はめざましいものがある.現代は物質文明の時代と言われるが,我々の生活面をつくり出す分野は実に複雑である.人類はその歩みの中で,単純な生活から多種多様な文化を生み出し,その要求にこたえてきた.
一方,これらの発展の陰で,汚染,公害といった人為的疾病が生まれたことも事実である.医学はかつてない新しい病気に次々と難問を浴びせられており,複雑かつ高度化した社会には,それに順応した対処法が要求される.今日,すでに医療は医師のみで対処できる域を脱している.高度に分化した専門分野はあまりにも複雑で,その処置は,医師のみでは物理的にも不可能に近い.いわゆる医療関連職員との協力態勢をとる時代である.
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