特集 [看護診断]への問いかけ
看護診断の流れをこのままにしていてもいいのだろうか
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.253-257
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900816
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はじめに
看護の世界で流行する理論や考え方の,進行のテンポの早さにはいつも驚かされる.しかも,どういうわけだか,必ずといってもよいほど,新しい理論はすばらしく,それを使うことにより,それまでの看護の矛盾が一挙に解決するかのような論調がいっせいに起こる.しかも,理論として紹介されるレベルにとどまらず,現場サイドからいち早くその考え方の正当性を裏付けるかのような報告が次々と出てくることにも驚かされる.それらは必ずしも現場からの自発的な意思によるばかりとも思えないのだが.
筆者は決して保守的ではないと自負しているが,これまで幾度かあった一連の看護界の流行現象に対しては,一貫して疑問を述べてきた.過ぎてみて,そのことはそんなに不適切な疑問ではなかったように思う.例えば,チームナーシングに代わるプライマリ・ナーシングについても,わが国の看護風土になじまぬことを指摘した1).当時の文献にはすでに,プライマリ・ナーシングを導入すれば,入院時に直ちに患者の問題点が整理でき,退院時計画も可能であるかのような発表があった.その後,思ったほどに普及しないのはやはり,種々の問題があるからであろう.だから,今回も「看護診断で看護が変わった」などと書いてあるのをみると,一応は首をかしげたくなるのである.
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