特集 卒直前の事故防止演習
看護基礎教育で静脈注射をどのように教えるか
宗正 みゆき
1
,
石本 傅江
1
,
兼安 久恵
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.190-194
発行日 2004年3月25日
Published Date 2004/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200172
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はじめに
医療環境の変化に伴い高度な医療知識,技術を備えた看護職者の的確な判断能力,実践能力が求められている.そうした社会ニーズに応える看護師の育成をめざし,平成14年3月に文部科学省の「看護学教育の在り方に関する検討会」報告から「実践能力向上の育成の充実に向けて」が提案された.
平成14年9月,静脈注射に関する行政解釈が変更され,看護師等による静脈注射の実施が可能となり,平成15年3月には療養者の安全・安楽を確保するための看護技術教育の強化について,厚生労働省から技術教育の指針が提示された.
しかし,看護基礎教育では診療の補助技術,特に注射技術においては「学内演習において設備が十分に整えられない」「臨地実習では指導者不足により実施が困難である」などの理由から,卒業前に安全な医療技術を習得するまでにはいたっていない.療養者の人権への配慮や医療の安全確保を第一とする臨床で診療の補助技術の習得は困難であり,何れの教育施設においても,また新卒者を受け入れる医療施設にとっても大きな課題となっている.
日本赤十字広島看護大学(以下,本学)では,平成14年の厚生労働省の通達を受け,4年生を対象に安全な静脈注射の実施に備えて講義を行うことになった.
本学では療養者主体の看護技術教育を基本に,アメリカの看護基礎教育のテキストを参考に静脈注射を実施する看護職者の能力不足が指摘されている.静脈注射に関する「法の知識」「解剖・生理」「薬剤知識」「静脈注射を受ける療養者のアセスメント」を重視し講義内容を構成した.本稿では今回実施した「静脈注射の基礎看護技術」教育についてその一部を紹介したい.
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