連載 学生のための看護診断入門・1【新連載】
看護診断とは
堤 由美子
1
,
中馬 成子
1
,
中俣 直美
1
,
三浦 陽子
1
,
別府 博子
1
,
柴田 恭亮
1
,
鹿島 友義
2
1鹿児島大学医療技術短期大学部看護学科
2国立南九州中央病院
pp.248-251
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900815
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看護は問題解決過程である
従来の診断・治療を中心にした医療から,患者の持っている問題に焦点を移すべきであるとの理念のもとに,Weed・Hurstらによって開発されたPOMR(問題志向型診療記録)ないしPOS(問題志向型診断システム)は,まず米国で普及していった.現在わが国では看護の領域で,この傾向が著明になってきている.これは医学ではどうしても疾病中心主義から離れられなかったのに対して,看護は問題解決技法としての看護過程の展開を,基礎教育で徹底して教育していたことが大きく影響している.看護過程を問題解決過程とするならば,患者をアセスメントし,そこから患者の持つ問題点を抽出し,その問題毎に看護を進め,かつ記録するというPOS,PONRはその目的に最もかなった看護の進め方であり,かつ記録法であるといえよう.
しかし,多くの病院の看護婦(士)たちがPOSに取り組み始めた時に,何を問題リストに挙げるべきか苦労したという.問題点に病名が挙がったり,症状がそのまま記されたり,手術名が挙がったりした.このことは看護婦(士)が看護自らの責任といえる仕事より,医師の診療の介助に追われて,病棟での看護も疾病中心に行なわれていたことの当然の結果といえよう.確かに医師が行なう診療の介助も看護の大切な役割の一面である.しかし,それだけでないことは臨床の現場にいる看護婦(士)の誰もが感じていることである.
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