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新人教員にはバイブルとして、ベテラン教員には振り返りに役立つ必見の書
本書に最初に目を通した時に、ヴァージニア・ヘンダーソンの著書『看護の基本となるもの』の【はじめに】の言葉が頭に浮かびました。「この本には、基本的看護を構成している諸活動の大要を述べてある。(中略)この小冊子は看護を一般的に論じ、どのような患者のケアにも応用可能としているところから、基本的な看護活動を述べることしかできない。つまり方法を記述することはできない。これは決してマニュアルではない。方法については読者はそれぞれの国の教科書類を参照してほしい」1)というくだりです。そして、大学の教員となって2か月目の新人看護教員が本書を読んでうれしそうに、「こんな本が欲しかったんです!新人看護教員のバイブルです!!」と言うのを聞いて、それが確信に変わりました。
大学教員は学術論文が評価の対象となることから研究手法の訓練は積んでいても、教育方法についてはよく理解できないまま、これでいいのかと常に葛藤しながら、自分ができるもので日々の授業をこなしていることが少なくないと思います。学生の学力低下が問題視されていますが、その原因に、このような教員側の状況は関係ないでしょうか。研究を進めるにあたって研究計画書は欠かせませんし、研究計画書を書くためには研究に対する知識が必要です。同様に、授業をするためには授業計画作成に必要な教育の知識が必要です。しかし、たくさんの教育理論や教育方法論から、どれが看護教育に生かせるのかを見いだすことは容易ではありません。本書では、授業計画、授業方法、評価方法、そして改善方法についての基本が『看護の基本となるもの』と同様に簡潔にまとめられています。各項目についてもっと具体的に知りたい、学びたいと思う人はまずは示されている文献を読んでみるといいと思います。
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