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授業づくりの先達が導く、学生に気づきの愉しさを届ける手引書
授業の設計や準備・実施は、看護教員に求められる教育実践能力の鍵である。教育のやりがいを感じられるのが授業であると同時に、それは多くの教員の悩みや課題でもある。とくに3年目までの新任教員の80%が「授業に困難や負担」を感じているという調査結果も示されている。また中堅・ベテランの多くも、時代の変化のなかで様変わりしている学生に対し、教員主体で何を教えるかだけでなく、学生が何を学びたいのかを軸にした教育方法を模索して悩んでいる。そんな現場の助けになるのが本書である。著者たちの経験知に基づいた学習指導案づくりのコツや、授業で用いられている実例およびアクティブラーニングの実践などが多数紹介されている。
本書は3章構成である。第1章「学習指導案からはじめる授業づくり」では、授業の成否を分ける学習指導案(授業づくり)の基本となる知識が整理され、具体例を示しながら紹介されている。第2章「学習指導案に基づく授業の実際」では、教材でもあり教具ともいえるワークシートを使った著者たちの実際の授業づくりが紹介されている。第3章「対話―教育学からみた看護の授業づくりと新時代の学び」は、教育学の専門研究者を交えて、前章までに紹介された授業づくり、学習指導案、ワークシートについての学びを深める内容となっている。また序章の用語解説や、教育学の立場から解説されているcolumnは、本書をより深く理解する助けとなる。さらに、付録のワークシート集は、ひと目で授業の構造が見渡せるようになっており、学習のプロセスや、その時どきでどういった知識が必要であるかが構造的に示されている。こんな授業が実施できたら、学生は授業に没入し、「気づいた、わかった、愉しい!」と感じられるのではと思える内容である。第3章で語られている、学生と教員にとってのワークシートの意義をふまえた上で、それぞれのワークシートを見るとその意味がさらに理解できる。
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