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取り組みの背景と概要
従来、3年生の最後に行う統合実習では、“学生自身が自己の看護実践力を評価し課題を明確にできる”ことを目的に実施してきた。しかし、次第に学生は看護師の業務だけに着目し、時間業務の臨機応変(その場しのぎ)な対応を学び、受け持ちの患者にさえも自らのもてる力を差し出そうとしない学生の変化に危機感をもち始めた。就職後に日々の業務や多重課題に直面しても“自己の看護観に基づき、目の前の患者にかかわり続けることができる学生を育てたい”という教員のねがいから、3年生の統合実習(科目名;看護の未来をつなぐ実習)に、【学習支援実習】と称する、1年生の基礎看護学実習(科目名;看護を知る実習Ⅱ)とともに行う3日間の実習を組み入れた。
「看護の未来をつなぐ実習」は、チームナーシング実習(7日)、管理実習(1日)、他部門実習(2日)の大きく3部構成になっている。さらに、チームナーシング実習は、複数受け持ち実習、夜間実習、学習支援実習の3つで構成される。学習支援実習(3日)は、複数受け持ち実習で受け持つ2名の患者のうち1名を1年生とともに受け持ち、看護師と調整しながら、1年生と一緒に看護を実践していく。1年生は、基本的には3年生と一緒に行動し、患者へのかかわりはもちろん、3年生が取る患者情報、指導者に実施する計画発表や報告、担当看護師から受ける指導、カンファレンスなど、病棟で行われている看護をまるごと体験する。就職後の状況に近く、多重課題の状況下での能力向上が求められる3年生に対し、看護実践を一緒にする形で支援してくれるのが看護師であり、さらにそれを包括して支援していくのが指導者や教員の役割である[図1]。具体的には、1年生は3年生に計画発表を行い、3年生は、1年生が患者にかかわることを支援しながら、2名の患者に看護を実践することになる。また、実習終了後は、1年生と3年生が毎日カンファレンスを実施し、学びの共有を行いつつ、対象理解を深め、その場に実習指導者と教員が参加する[表1]。
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