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はじめに
看護学生にとって臨地実習は、看護基礎教育で限られた臨床現場での学ぶ機会であると同時に、学内でのこれまでの学びを統合する機会でもあります。看護学教育モデル・コア・カリキュラム(平成29年改訂)1)の大項目である「F 臨地実習」では臨地における実習の学修目標が提示されていますが、中項目の「F-1-2)臨地実習における学修の在り方(特徴)」①では「学修した看護学の知識・技術・態度を統合し、根拠に基づき個別性のある看護を実践できる」ことが学修目標として示されています。つまり、臨地実習のなかでこの学修目標を到達するためには、看護学生が臨地実習に参加する段階でこれまで学んだ内容を統合する準備(レディネス)ができている必要があると言えます。しかしながら、看護学生全員が学びを統合する準備ができているとは限りません。このような準備状況のばらつきは、看護学生が受講した科目における学修目標の到達度や、自己学習における看護学生の学びや経験といった学習背景の違いによって生じているのでしょう。また、学生個人の得手不得手、年齢、性別、入学までの背景といった学生個人の特性によって生じている可能性もあります。このように多様な要素が複雑に絡み合うなかでは、学生によって必要な学習支援は異なると言えます。
臨地実習は、実際に療養されている患者を対象として行われます。看護教員が学生への支援の仕方を見誤ってしまうと、看護学生の適切でない実践につながり、患者にとって不利益な事象が生じる危険性もあります。そのため看護教員は、看護学生が臨地実習に臨むにあたって、1人ひとりの準備状況を評価し、必要な支援を行うことが求められます。
本稿では、看護学生が臨地実習でこれまでに学習した看護学の知識・技術・態度を統合するために必要な支援を、臨地実習開始までにどのように考え、臨地実習中に支援するのか、私の実践例をとおしてお伝えできればと思います。
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