教育のひろば
治療に向かう人の看護として
岡 宏子
1
1聖心女子大学
pp.1
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905251
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看護教育に携わる方々とは,前々からお近づきになる機会も多かったので,私も自分なりに「看護」については関心をもっていたつもりだったが,近年,姉と母を相次いで癌で失い,あらためて「看護とは」ということを考えさせられることとなった。
もちろん,その道の専門家たる読者諸氏に向かって,こんなことをいう必要もないとは思うが,たとえば,病院で,患者やその家族の目に映ずる看護婦さんの仕事,その役割は,看護の本来の意味と多少ずれがあるように思う。外来で病院を訪れた時も,入院の場合も,われわれ患者側の目につく看護婦さんの役割は,医師を助けてその診療を介助するということである。診察室にあっても,その仕事は,専ら,医師を助けてその診療がなめらかに行なわれるよう,よき助手としての役割に向けられるし,病室でも,検査や処置の道具を携えて主治医とともに姿を現わし,その指示のもとに,これまた診療の補助的役割を果たすのである。それで,ややもすると,患者の目に映ずる看護婦さんとは,主治医に従い,その診療の介助をする人であり,その看護とは,主治医のよき手足または出店としての種々様々な処置といった解釈がなされることも多いようである。
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