特集 【研究する人間】木下康仁先生の功績と足跡
Ⅰ.研究者として,教育者として—木下康仁先生との在りし日
Ⅰ-2 看護学との邂逅
学生指導の達人,教員のメンター
堀内 成子
1
1聖路加国際大学
pp.29
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580010029
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木下康仁先生と聖路加国際大学との関わりは,2017年から看護学部の非常勤講師から始まり,その後2018年4月から2024年3月18日まで特命教授として大学院看護学研究科で教鞭をとられていました。修士課程では「社会学方法論」「看護社会学特論」,博士後期課程では,「社会学方法論」「看護学方法論IV:質的研究方法」「看護社会学特論」等を教えていらっしゃいました。そして修士論文・博士論文の指導教授として,また質的方法論を用いる論文審査の副査の役割を担っておられました。
木下先生が研究科委員会で報告なさる論文の審査結果は,印象的なメッセージとして忘れられません。まずその博士論文の意義を述べ,看護学における論文の価値を肯定的表現で述べられます。その後,「ただし次の点は,課題である」と続きます。①すぐに修正が可能なもの—記述や文脈の不足,②到底このデータの今の段階では記述できないこと—将来の研究の方向性,考察不足を指摘して講評を終えます。会議後に教員同士で,「木下先生の講評は,論文成果を最大限に認めるけれど,次の学習課題も山盛りで,まさに教育的講評。勉強になるね」と話していました。
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