特集 使える「患者役」になろう!
教員や学生が「患者役」になる意義をあらためて考える
屋宜 譜美子
1
1天理医療大学医療学部看護学科
pp.870-875
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200620
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はじめに
看護教育において,ロールプレイは日常的に行われている手法である。特に,看護技術演習では,患者役と実施者(看護師役)を相互に演じることで看護が学び取られていくことを願ってさまざまなロールプレイが行われている。しかし実習室で演習し相互に体験すれば,それだけで目標とすることを学べるとは,おそらく誰も思ってはいないだろう。
実習室と,実際の受け持ち患者を目の前にした臨地実習の間には越えなければならない壁が大きく立ちはだかっている。なぜなら,学校で学ぶ看護の方法は,臨床で同じ形で実施できることはほとんどなく,患者それぞれに,そのときその場で臨機応変に応用,アレンジしていくことが求められるからである。主に成人を対象とした一般的な実施方法の例をデモンストレーションやビデオで覚えた後,それを応用・アレンジする道は険しい。
それでも,この険しい道を越えていこうとする学生を後押しできるような,できるだけ臨床状況に近い教育ができないかという教員の願いを実現する方法として,より効果的なロールプレイの工夫が重ねられているのだと思う。
効果的なロールプレイには,有用な患者役が必要である。本稿では,特集テーマである「使える患者役」になるにはどんなことが必要なのか,筆者のこれまでの体験を紹介することで,日ごろのロールプレイという教育実践を,より豊かな学習の場にしていただけることを願いとする。
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