特集 新型コロナウイルス感染症 これからの学校・教育
お便りコーナーから考える新入生の状況と教育現場におけるセレンディピティ
友滝 愛
1
,
柏木 公一
1
1国立看護大学校
pp.932-937
発行日 2020年10月25日
Published Date 2020/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201588
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
筆者らは東京都内にある国立看護大学校にて、1年生の必修科目(看護情報学)を担当しています。今年の新入生は対面での入学式やオリエンテーションなどを開催できないまま、5月18日からオンラインによる同時双方向型授業がスタートしました。このようななか、筆者らの科目では、授業開始時から「お便りコーナー」を導入しました。そこでの学生とのやりとりからは、筆者の想像が十分に及んでいなかった学生の置かれている状況が垣間見えました。とくに新入生ならではと思われる声として、「学生同士が対面で会ったことがなく、どんな人と一緒に授業を受けているかわからない」「初めての1人暮らしのなか、まだ友達もできていない」「学校の雰囲気がわからない」などがありました。
それでは、予期せずオンライン授業に対応せざるを得なくなった学生は、どのような心理状況に置かれていたのでしょうか?全国で行われていた学生アンケートの調査結果によると、授業以外の生活に関して「友人関係などの学生生活の不安」「独りぼっち、友達がいない、孤独を感じる」「相談できる人がいないが欲しい」といった人間関係に関する悩みがあり、他学年より1年生のほうがこういったことを感じる傾向があるようでした1〜3)。つまり、授業コンテンツはオンラインで代替できる部分があったとしても、とくに新入生は新しいコミュニティでの人間関係の構築が難しいことが推察されます。
学生からお便りコーナーをとおして教えてもらった、こうした状況を読者の皆様と共有し、これからの教育機関の在り方を考えるきっかけになれば幸いです。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.