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特集 計画的セレンディピティが医学・創薬を革新する!
脳梗塞治療の計画的セレンディピティ
Serendipity in the development of stroke treatment
新妻 邦泰
1
Kuniyasu NIIZUMA
1
1東北大学大学院医工学研究科神経外科先端治療開発学分野,同医学系研究科神経外科先端治療開発学分野,同神経外科学分野
キーワード:
脳卒中
,
脳梗塞
,
血栓
,
血栓溶解
,
炎症
Keyword:
脳卒中
,
脳梗塞
,
血栓
,
血栓溶解
,
炎症
pp.817-821
発行日 2022年8月27日
Published Date 2022/8/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28209817
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脳梗塞とは,脳を栄養する血管が閉塞あるいは狭窄することにより,その灌流領域に十分な酸素や栄養が供給されなくなり,結果として脳神経細胞が障害されてしまう疾患である.脳梗塞になると半数以上に後遺症が残存するが,近年は脳が傷つく前に閉塞した血管を再開通させる再開通療法により治療を受けることができた患者の成績が著しく向上している.ただし,脳が傷んだ後に再開通させてしまうと出血性変化が生じて状態が悪化するために厳しい時間制限があり,再開通療法を受けられる患者は10%程度である.Stachybotrys microspore triprenyl phenol(SMTP)化合物とは血栓溶解作用と抗炎症作用を併せ持つ化合物であり,出血性変化を抑制しながら再開通させることが期待できる新規薬剤であり,SMTP化合物を用いた脳梗塞治療の第Ⅱ相治験まで終了した段階である.本稿では,SMTPの開発経過を概説するとともに,計画的セレンディピティについて考察する(SMTPの開発は “計画的ではない” セレンディピティの塊であったが…).
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