特集 看護実践につながる専門基礎科目の教授法
患者を中心においてとらえる看護薬理学教育
柳田 俊彦
1
,
金岡 麻希
2
,
木下 由美子
2
1宮崎大学医学部看護学科 統合臨床看護科学講座 臨床薬理
2宮崎大学医学部看護学科 統合臨床看護科学講座 成人・老年看護学領域
pp.822-829
発行日 2020年9月25日
Published Date 2020/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201567
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はじめに
看護における薬理学教育は、看護職の専門化・多様化・高度化に伴い、より重視される傾向にある。与薬の実践者である看護師には、薬の専門家である薬剤師とともに“患者を守る最後の砦”として、薬物治療に関して高度で幅広い知識が求められている。“与薬は患者への介入を伴う”ものであり、その安全性を担保するために、十分な薬理学教育が必要となる1〜3)。
大学病院などでの看護師への現任教育では、薬剤部や診療科と連携しながら薬物治療に関する教育が展開されている。助産師教育に関しては、大学院修士課程への移行や助産実践能力習熟段階(CLoCMiP)において、より高度な看護実践者として妊娠授乳期の薬物治療や薬剤管理に関する専門的知識の習得が望まれている4)。また、「専門看護師教育」「認定看護師教育」「特定行為に係る看護師の研修制度」において、臨床薬理学は必修となっており、それらの臨床薬理学教育に立脚した「薬物療法看護」の充実が、さまざまな看護領域において求められている5〜7)。
卒後教育や継続教育において薬物治療に関する教育が重視されている一方で、看護師養成課程における薬理学教育は十分と言えない状況であったが、第5次指定規則改正において、「解剖生理学や薬理学等を充実させ、臨床判断能力の基盤を強化する」ために、「人体の構造と機能」および「疾病の成り立ちと回復の促進」について1単位増加が示された8)。また、2017年に策定された「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」においても、薬理学教育の充実が求められている9)。本稿では、看護実践に必要な薬理学知識を学ぶための教育について紹介したい。
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