特集 実習病院と教育機関の関係づくり
実習指導者と学生の間の「ずれ」を理解する―実習指導事例の振り返りと分析①
半場 江利子
1
,
田茂井 優佳
1
1地方独立行政法人京都市立病院機構京都市立病院
pp.909-915
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201356
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はじめに
臨地実習では、患者の主観的・客観的な情報を統合しケアにつなげることが困難な看護学生も多く、実習指導者(以下、指導者)は効果的な指導方法や教員との連携に悩むことも少なくなかった。効果的な指導方法を検討するうえで、患者・学生・指導者の関係を考えることは臨地実習指導ではきわめて重要である。そこで、実在する患者への看護実践を通じて、学生と指導者がどのようにかかわったか、実際の指導場面を振り返り、指導者会で検討を行ってきた。
今回、京都橘大学の実践看護学実習Ⅱ(2年次後期開講2単位)をとおして、指導者および教員が指導に苦慮する場面を共有し、学生の実習記録、指導者の指導記録、指導教員の指導内容の振り返りをふまえてその過程の分析を行った。その結果、「学生と指導者」「学生と指導教員」「臨床と大学」それぞれの間に、学生を指導するうえで、いくつかの「ずれ」が生じていることが明らかとなった。そこで、この「ずれ」の存在を理解したうえで、教員と指導者がどのように対応・連携していくことが効果的な教育や指導となるのかを検討した。
本稿から始まる3つの記事でその内容を紹介したい。まずは、本稿で「学生と実習指導者」の間のずれを紹介する。
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