特集 学生・教員をまもるハラスメント対応
看護系教育機関におけるハラスメント対応事例2―実習先での指導者と学生間の問題事例
内川 菜月
1
1名古屋大学ハラスメント相談センター
pp.1036-1042
発行日 2021年11月25日
Published Date 2021/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201845
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教育機関における責務
ハラスメントの背景には当事者間の優越的な力関係の差が存在する。ハラスメントの定義は葛論文(1006頁)に記載されたとおりであり、法律においてはパワハラ防止法(労働施策総合推進法:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)や男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)などにおいてパワハラやセクハラの定義がなされている。大学などの教育研究機関における教職員と学生との関係においては、学生は労働者ではないため、パワハラ防止法をそのまま適用することはできないが、指導―被指導関係において成績評価権等を有する教職員と学生の間にも優越的な関係が存在し、教職員がその権限を不当に行使すれば(アカデミック)ハラスメントとなりうることは公知のことである。
また、セクシュアルハラスメントに関しても、教育研究機関において学生に対して性的な言動により不利益を与え、修学環境を害する状況となれば、ハラスメントに該当することも当然である。
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