連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・23
膵臓周囲器官―胃の後ろは意外とにぎやか
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京造形大学彫刻専攻領域
pp.897
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201352
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膵臓は、消化液を十二指腸へ外分泌し、インスリンを血管へ内分泌している重要な器官です。しかし、腹腔内でも深い部分にあるために、よく見る腹部の壁を取り除いただけの内臓の解剖図には描かれません。膵臓は腎臓と同じ高さにあり、その後ろには大動脈と大静脈が縦に走行しています。前部には胃があって、その奥に隠されています。膵臓の右と下は十二指腸、左は脾臓、上は胆囊と肝臓に囲まれています。また、膵臓自体も小腸と肝臓を結ぶ重要な血管をはさみ込んでおり、ちょうど消化器官が交わる交差点に位置しています。
膵臓周囲器の造形は、まず細めの粘土棒を2本に切って、上腸間膜動脈と門脈を作ります。次に膵臓を大きめの粘土で逆「つ」の字形に作り、先の2本をはさみ込みます(①)。このとき、上腸間膜動脈は膵臓の裏側までで、門脈は膵臓の上方へ抜けてきます。
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