特集 発達障害の特性がみられる学生への理解と支援
「対応が難しい学習者」は,誰が,何に,困っているのか
川上 ちひろ
1
1岐阜大学 医学教育開発研究センター
pp.866-872
発行日 2018年10月25日
Published Date 2018/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201094
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「対応が難しい学習者」をとりまく状況
高等教育機関では,身体,感覚器,発達障害などすべてを含む障害のある学生への支援が義務(私立学校の場合は努力義務)であり,専任の教員を配置するなどして障害のある学生の支援が始まっています。この支援は障害者差別解消法に定められた合理的配慮といい,所属している高等教育機関と学生との双方の対話から同意を得てさまざまな配慮が提供されます(図1)。これは,医学や看護学などを学ぶ医療者養成機関でも同様です。
医療者養成機関における学生支援については,医学などでは身体や感覚器などに障害のある学生の支援,看護学においては発達障害のある学生の支援も行われている報告があります。ただ,とくに発達障害のある学生への支援は始まったばかりといえ,今後国内の医療者養成機関で障害のある学生の支援の充実や構築が期待されます。また,後で詳しく述べますが,発達障害は診断がつかないまでもその特性をもつ学生は多く存在し,教育や臨床現場では対応に苦悩している現状があります。
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