Scramble Zone
看護基礎教育における初年次教育としての協同学習の導入─前編 なぜ導入したのか,その理論的背景
鮫島 輝美
1
1京都光華女子大学健康科学部看護学科
pp.482-486
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201002
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
大学における初年次教育の必要性
少子化にともない,「大学全入」時代を迎えたといわれている。「大学全入」時代とは,過度の受験競争は緩和される一方,大学入試の選抜機能がもたらしてきた,①「高校教育の質の保証」(大学合格を動機づけとした学習効果),②「大学の入口管理」(大学合格が基礎学力の証明となる)への効果が,従来ほどは期待できなくなっており,さらに,③大学進学者は一定の基礎学力を有する,との前提の成立が難しくなっている状況のことである1)。また,大学生になっての意識として「大学の授業についていけない」と感じている学生も多く,いかに入学後早期に大学生活へシフトチェンジできるか,が重要である。
さらに近年,学生の「質」が変化したといわれている。たとえば,「基礎学力がない」「学習意欲がない」「学習目的が明確でない」など,受動的で非常にネガティブな評価となっている。こうした背景には,大学の大衆化やユニバーサル化があり,社会全体が変化したとの分析もある2)。こうした評価は,2000年前後に騒がれた「学力低下論争」に端を発しており,「ゆとり教育」批判をめぐる政治的課題へと発展している。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.