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はじめに
●本調査の背景
看護基礎教育において臨地実習は,学習した知識と実践を統合する役割をもつ重要な科目である。看護師養成所2年課程(通信制)(以下,通信制)では,在籍する学生が准看護師としての豊富な業務経験をもっていることを前提としていることから,臨地実習は「紙上事例演習」24事例程度,「病院見学実習」16日,「面接授業」24日をもって構成されている(科目ごとに「紙上事例演習」3例程度,「病院見学実習」2日,「面接授業」3日と設定される)。
通信制は,入学要件としている准看護師経験年数「10年」の短縮が,平成27(2015)年3月の国家戦略特別区諮問会議,6月に発表された「日本再興戦略改訂2015」において提案され,「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」の一部改正を経て,今(平成30)年度4月より,「7年」への変更が施行された。この入学要件の見直しにあたっては,「看護師養成所2年課程(通信制)への進学者の修業年限と就業内容に応じた教育内容に関する研究」(代表者:井部俊子)1)が実施され,新たな入学要件に見合った教育内容を検討した。そのなかで,通信制の教育体制や教育内容に関するさまざまな課題が明らかとなった。なかでも臨地実習については見学実習の期間や方法,実習施設の確保について検討が必要であることが指摘された。さらに,紙上事例演習で用いられている通信機器などを通じての学習支援は,対面とは異なる技術が必要であることから,効果的な学習支援方法を検討する必要があることが明らかになった1)。
こうしたことを受けてあらためて,見学実習や紙上事例演習を含めた,通信制の臨地実習のあり方を検討することを目的に本調査を実施した。本稿では主に見学実習の改善にかかわる内容について報告する。
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