特集 「学び方」を学ぶ―広まる初年次教育への取り組み
初年次教育の実際―玉川大学における具体的な展開
菊池 重雄
1,2
1玉川大学経営学部国際経営学科
2コア・FYE教育センター
pp.382-387
発行日 2009年5月25日
Published Date 2009/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101191
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はじめに
大学大衆化時代,大学全入時代を迎え,低学力学生や低意欲学生が増加しつつある。また,大学に入学したものの,学習の目的が不鮮明な学生も増えてきている。学生のなかには,大学教育,とりわけ入学後,専攻分野の教育に初めて触れ,何をどのように学習してよいかわからない状態になる者も少なくない。そのような状況をふまえ,入学生の中等教育から高等教育への円滑な移行をいかに図るかが大学にとって大きな課題となっている。より具体的には,学習を中心とする大学生活そのものへの入学生の円滑な移行を支援する初年次教育プログラムの開発と運用が,多くの大学において急務となっている。加えて,学士課程教育の構築が求められる今日にあって,初年次教育プログラムは学生個人がその必要性を自覚し,主体的に達成することで,大学4年間の学習基盤はもとより,生涯にわたる学習の基盤となるものでなければならない。
こうした状況を踏まえ,玉川大学ではFYE(The First-Year Experience)コンセプト*を採用し,科目としての「一年次セミナー101・102」を中心に,「新入生オリエンテーション」「自校教育」「学長・学部長講話」「学習・学生生活アドバイス」など多角的な視点に立って初年次教育を展開している。本稿は玉川大学の全入学生を対象とした必修科目である「一年次セミナー101・102」の実施事例を報告するものであるが,読者が初年次教育の実際のありようとその大学教育および専門学校教育**における位置づけの問題について考察する際の端緒となれば幸いである。
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