特集 「学び方」を学ぶ―広まる初年次教育への取り組み
初年次教育とは何か―「生徒」から「学生」にするための方策
山田 礼子
1
1同志社大学教育開発センター
pp.376-381
発行日 2009年5月25日
Published Date 2009/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101190
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はじめに
2008年3月に初年次教育学会の設立大会が同志社大学で開催された。同年11月には第1回大会が玉川大学で開催され,両大会への参加者数はいずれも330名を超えるなど,現在の初年次教育へのニーズと期待の高さを如実に示している。日本の高等教育を取り巻く環境変化は著しく,学力・学習目的・学習動機・学習習慣の多様な学生を受け入れるようになっている大学が増加している。こうした状況に対処するために,大学をより教育を重視する場へと変革させるような教育政策がとられるようになってきたことも初年次教育の広がりにインパクトを与えている。
事実,2008年3月に中教審大学分科会制度・教育部会による審議のまとめ『学士課程教育の再構築について』では,高等学校から大学への円滑な移行に果たす初年次教育の重要性が指摘され,学士課程教育の中に初年次教育を明確に位置づけることが提言された。2008年12月に公表された答申においても,初年次教育プログラムの教育課程での位置づけが正式に確認されるなど,初年次教育はいまや高等教育に不可欠な教育プログラムとして認識されている。この場合,初年次教育は,大学や短大を対象としているのみならず,専門学校をも含む高等教育全般の問題であるといえるだろう。
本稿では,初年次教育の概念の説明と定義,調査からみた初年次教育の現状と効果について概説する。
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