特集 身体拘束から考える 基礎教育と臨床の関係
看護師の変遷する拘束像─学生から新人看護師,指導的立場へ
中野 真理子
1
1自治医科大学看護学部
pp.442-447
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200995
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
私は,成人看護学領域の教員として看護教育に携わっています。一方で,佐藤紀子先生が創設した看護職全般の人々を生涯にわたり発達を続ける存在としてとらえ支援する「看護職生涯発達学」という学問領域で看護師の臨床の『知』,特にクリティカルケア領域の身体拘束に関する看護師の『知』を明らかにする研究に取り組んでいます。
どうして身体拘束なのか。あるとき,目にした1枚の写真に心を痛めました。上肢をベッド柵に縛られミトンを付けられているお婆さんが私を見つめていました。その瞳は悲しく,長年妻として母として懸命に生きてこられたこの方の最後が,こんな姿なのは悲しすぎると思ったのです。それから,患者さんにとって拘束されるとはどういうことなのか,あらためて考え,「人を縛る」という権利が誰にあるのかという思いが強くなりました。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.