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Ⅰ.はじめに
当院は,病床数745床の急性期医療を担う地域中核病院で,透析のセンター病院としての機能を有している.CAPD患者29名,透析ベッド31床,維持透析患者約65名,手術などのための転入患者約20名,年間透析導入患者約60名であり,その導入患者のほとんどは自宅近くの透析施設へ短期で維持透析を依頼している.腎センターへは病棟勤務を経験した看護師が配属され,現在26名である.そのうちCAPD看護師は5名で,CAPD外来を兼務し,ほか5名も外来を兼務している.平均年齢41.3(27~53)歳,透析室勤務平均年数は5.6(0.8~15)年である.私は腎センターで外来,CAPD,血液透析室勤務を経験し,現在は透析室で新人指導,研修者指導,学生指導などの立場にある.
今回,「透析看護サービスにおける安全と信頼」というテーマをいただいたとき,まず「看護サービス」について考えてみた.看護がサービスであることの意義について中西は,「看護職が看護サービスを提供するうえで大切なことは,患者(クライエント)の権利を守ることであり,それは消費者(一般市民)の権利であることを忘れてはならない」と述べている1).では,その「看護サービス」と「透析看護サービス」ではどこが違うのだろうか.それは透析療法が命と直結した治療法で一生継続されるため,患者にとって日常生活の一部でもあるという点が特徴的であるということである.透析患者にとっては,安心して透析を受ける「権利」があると同時に,患者自身が自己管理する「義務(責任)」が生じる.
私たち透析看護師は常に患者に寄り添い,患者が「権利」を主張し,「責任」を果たし,主体的に療養生活を送れるよう信頼関係を築き,安全に透析療法を受けることができるように支援する役割があると考える.透析室新人指導者としての私の体験を通して,透析看護師の役割について考えてみたい.
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