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書評 ─『看護学生の主体性を育む協同学習』─看護教育に協同学習を取り入れようとする際の一指針となる書
児玉 善子
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1大阪労災看護専門学校
pp.689
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200578
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私が緒方巧先生と協同学習に出会い,手探りの状態から本校に協同学習を取り入れ3年が経過した。学生同士や学生と教員が協同学習をますます深化させていく時期にさしかかったといえる。
協同学習の定義(条件)を理解するうえでもっともわかりやすい技法が「ジグソー学習法(以下,ジグソー)」である。まずクラスを4〜6人構成のグループに分け,グループのメンバーそれぞれが自分の担当する学習課題について責任をもって学び,互恵的に教え学び合う。分割された学習課題が合わせられて初めて学習課題の全体が完成する仕組みとなっている。本書のⅡで紹介されているジグソーを用いた「注射の技術」の展開例は,学習課題やグループ編成,進め方,チェックリスト,必要物品など演習の準備について詳細に記載されているのでわかりやすい。本校でもすでに「注射の技術」はジグソーを取り入れている。しかし,教師役の学生が,自分の役割に集中しすぎてグループの達成を見失っているのではないかと不安を感じる場面があったが,本書にはジグソーを用いた教育方法で展開する意図や計画を学生に提示している文書が記載されており,個人と全体の方向性が見えやすく,私自身の不安解消となった。
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