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はじめに
1960年代,エール大学において,オーランドは,看護師と患者の人間関係の側面から看護過程をとらえた。オーランドは,看護活動が看護の過程を創りだしていると考え,その過程は患者と看護師の力動的関係であるとして3つの要素を明確にした。それが,①患者のニーズの確認,②患者のニーズに対する直接的・間接的対応,③助けたかどうかの確認,であった。そして,1970年代には,看護について,①人間1人ひとりに個別性があるため看護を個別化すること,②ホリスティック(全体論的)にその人をとらえること(心理・社会的側面も重視すること),③主体はその人,看護師は援助者である,④看護には科学的なプロセスがある,ととらえられていた。
このような看護のとらえ方を基盤に,「看護過程」が,知識や理論を拠り所とした論理的・客観的な枠組みをもつ看護方法として明確に示されたのである。「看護過程」の特性は,①目的的である(目標志向),②組織的である(クライエント中心のケアの質を保証するために組織化されたアプローチを用いる),③ダイナミックである(循環的であり継続的な変化を含んでいる),④相互作用的である(看護師─クライエント関係を通じてクライエントの変化する反応に焦点を当てた進行形のプロセス),⑤柔軟性がある(各段階は連続的で同時発生的,どんな年代の対象者に対しても実用的,あらゆる場面で実用的),⑥理論に基づいている(科学と人間性を含んだ知識に広く基づいて考え出されている,あらゆる看護の概念モデルにも適用できる)が挙げられる。
そこで,「看護過程」を使うと看護はどのようになるはずかといえば,①看護独自の援助の存在を保証する,②看護援助の質(看護援助の個別性)を保証する,③看護援助の科学性を保証する,④その人とともに看護することの保証につながる。一般に,過程(process)には,目的(goal)に向かう段階(step)が存在し,現在,看護過程は5つの段階が有力になっている。看護の対象や場を問わずに有用だとされる「看護過程」であるが,過程(process)の意味からして,使用に際し看護の理念・看護の対象をどのようにとらえるか,看護の目的は何か(どのような看護を志向するか)と密接にかかわることを認識する必要がある。
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