特集 カリキュラムを「拡張」しよう!
批判的思考態度を育て,「平和」を問い直す研修旅行
片岡 和江
1
1勤医協札幌看護専門学校
pp.179-185
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200454
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はじめに
本校は1979年に社団法人(現在は公益社団法人)北海道勤労者医療協会を設置主体として,日本国憲法を基盤に看護師として必要な基礎的知識,技術,素養はもとより,平和で豊かな社会建設の形成者として貢献できる民主的で人間性豊かな看護の専門家の育成を目指し2年課程の看護専門学校として開設された。その後,1984年に3年課程を併設し,2001年には2年課程を閉課するという変遷をたどってきた。
看護学生の多くは青年期にあり,さまざまな人との出会いや社会的な経験を通じて自己同一性を形成していく過程にある。同時に看護学生たちには,専門的な知識や技術の習得に加えて,多様な背景をもった対象をとらえる力や,対象の人権を擁護する職業倫理など看護師としての急速な成長が求められている。
臨地実習や課外活動を通じて,自己の体験の意味を内省し批判的思考力を高めることは,それらの学習の基盤となる同時に,看護の実践力の向上にもつながるものである。
本校における「平和と医療」をテーマとする研修旅行の取り組みは,学生が社会的な視野を広げ,自ら確かめ,考えるという体験を通じて,批判的思考を高める体験となっている。その実際と学生の学びの一端を紹介する。
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