誌説
医師と「批判的思考」
堀内 圭輔
1
1防衛医科大学校整形外科教授
pp.12-12
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_12
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米国の整形外科専攻医の研修には,最低60日間の研究期間を確保することが義務づけられているようです.日本の専攻医研修にはない,興味深い試みだと思います.しかし,これに対して真っ向から反対する誌説が2022年の『Clinical Orthopaedics and Related Research』に掲載され(Leopold SS. Editorial:Should Orthopaedic Residents Be Required To Do research, or Would Critical Reading Programs Be a Better Use of Their Time? 2022;480:1025-7),反響を呼びました.その誌説では,専攻医のプログラムから「研究」のカリキュラムを撤廃し,論文やデータを批判的に読み,正確に評価できるようになるための研修を組み込むべきだと主張しています.すなわち2ヵ月間の研究に従事するよりも,その時間をcritical appraisal(ここでは「批判的思考」と意訳します)の教育に充てるほうが,専攻医の教育により重要であるということです.
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