新人理学療法士へのメッセージ
「何のため?」を問い直す
川原田 里美
1
1青森県立あすなろ学園
pp.368-369
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100078
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あらゆる生命が躍動する春,理学療法士として出発された皆さん,おめでとうございます.このたび新人理学療法士の方にメッセージを書く機会をいただきましたので,私がこれまでの仕事を通して学んだことを素直に書きたいと思います.
スタート直後の焦りと疲労感
私はずっと小児施設で働いています.仕事をはじめた頃は,学生時代には経験したことのない疲労感に襲われていました.なぜそんなに疲れたのか? それは,毎日,毎時間,担当の子どもさんとご家族を前にして,とても焦っていたからです.そのときの私の最大関心事は「何をするか?」でした.あるときは,子どもさんを泣かせないようにするのに精一杯で,あっという間に40分が過ぎていきました.また,あるときは子どもさんのご家族と何を話したらよいのかわからず,とても長い40分に感じられました.毎日,毎日,もっと勉強しなくては! と痛切に感じていました.最初は十分な知識と高い技術を身につけることが重要だと考えていました.そうすることで,どんなに難しい障害をもつ子どもさんを担当しても,「何をすれば良いのか」がパッとわかるようになり,ご家族にも信頼されると思っていました.何年か経験を積み,初めの頃よりは知識と技術を身につけたと思ったのですが,子どもさんとご家族の助けになっていると実感することはできませんでした.時々,「子どもにとって理学療法士って必要なのかな?」と思うことさえありました.
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