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はじめに
当校は,奈良県生駒郡三郷町に位置する精神科病院を母体とした3年課程の看護師養成校である。1学年定員は40名であり,「人間性豊かな人の心に寄り添うことのできる看護師を1人でも多く輩出して看護の質を上げること」をミッションとして,現在までに1701名の卒業生を送り出している。2011(平成23)年に学校評価委員会を立ち上げ,自己点検自己評価に取り組みながら教育の質の向上を目指している。また,2014(平成26)年より学校関係者評価委員会のメンバーによる評価を受けながら,教育活動および学校運営に活用しつつ学校活動全般について自己改革に取り組んでいる現状である。
近年,医療界は「サービス業である」という考え方はすでに定着しており,多くの医療機関が接遇教育の重要性を認識して接遇委員会などを立ち上げ,患者満足度を向上させるための取り組みをしている。当校の母体病院も同様であり,看護部が中心となってさまざまな取り組みをしているが,本来ならば「接遇教育」は学生時代から基礎教育の段階で学び,「おもてなしの心」は社会人として,また看護師になるものとして,自然に身につけておくべきものではないかと考えている。
しかし,看護基礎教育におけるタイトなカリキュラムのなかには教科目として接遇教育を強調して取り入れる余地は少なく,カリキュラム外での教育に委ねざるを得ないのが現状である。学生の成長を期待してカリキュラム外活動を活用し,いかにしてカリキュラムと結びつけながら教育効果をあげることができるかを考え,実践していく必要性を実感している。
そこで,当校の歴史とともに重視されてきた接遇教育の効果が,学生はもちろん教職員,そして卒業生が就職する母体病院の臨床現場にも影響を与えてきたことを報告するとともに,その実際の取り組みの一部を紹介したい。
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